毎晩のように大きないびきをかいている。家族から「いびきがうるさいだけでなく、時々呼吸が止まっているよ」と指摘されたことがある。そして、日中は耐え難いほどの強い眠気に襲われ、仕事や会議に集中できない。これらは、睡眠時無呼吸症候群の最も代表的で、かつ危険な症状のサインです。睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。その多くは、空気の通り道である上気道が、肥満や扁桃腺の肥大、あるいは加齢による筋肉の緩みなどによって狭くなることで引き起こされます。狭くなった気道を空気が無理やり通ろうとする時に、周囲の組織が振動して鳴る音がいびきです。つまり、大きないびきは、気道が狭くなっているという危険信号に他なりません。そして、気道が完全に塞がってしまうと、呼吸は数十秒間停止します。これが無呼吸の状態です。体は酸素不足に陥り、脳は危険を察知して目を覚まさせ、呼吸を再開させようとします。この「無呼吸→覚醒」というサイクルが一晩に何十回、何百回と繰り返されるため、本人はぐっすり眠っているつもりでも、実際には脳も体も全く休めていないのです。その結果として現れるのが、日中の強烈な眠気です。夜間の睡眠の質が著しく低下しているため、朝起きても熟睡感がなく、体は常に疲労しています。日中の眠気は、単にパフォーマンスを低下させるだけでなく、居眠り運転による重大な交通事故や、作業中の労働災害の原因にもなりかねない、非常に深刻な問題です。大きないびきと日中の耐え難い眠気。この二つの症状に心当たりがある方は、それを単なる体質や疲れのせいにせず、専門の医療機関で診てもらうことが重要です。放置すれば、高血圧や心臓病、脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めることにも繋がります。あなたの体が出しているSOSを、決して見過ごさないでください。