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2025年9月
  • イチゴ舌と発疹の関係!見分け方の重要ポイント

    医療

    イチゴ舌が現れた時、診断の精度を飛躍的に高めるのが、同時に現れる「発疹」の有無とその性状です。舌と皮膚は、体の状態を映し出す鏡のようなものであり、この二つのサインを組み合わせることで、原因となっている病気をより明確に見分けることができます。溶連菌感染症の場合、イチゴ舌とともに現れる発疹は「猩紅熱様発疹(しょうこうねつようほっしん)」と呼ばれ、非常に特徴的です。これは、体幹(お腹や背中)や首、手足の付け根といった、皮膚の柔らかい部分を中心に、赤くて細かい、まるで紙やすりのようなザラザラとした手触りの発疹が、広範囲にわたって現れます。痒みを伴うことも多く、皮膚が全体的に赤みを帯びて見えるのが特徴です。この猩紅熱様発疹とイチゴ舌の組み合わせは、溶連菌感染症を強く示唆する、いわば「ゴールデンペア」とも言えるサインです。一方、川崎病でも発疹は主要な症状の一つですが、その見た目は「不定形」と表現されるように、非常に多彩です。溶連菌のような細かい点状の発疹が出ることもあれば、麻疹のような少し大きな発疹、あるいは蕁麻疹のような盛り上がった発疹など、様々なタイプのものが現れます。特定の形に定まらないのが、逆に見分け方のポイントとなります。また、川崎病に特徴的な皮膚所見として、BCGを接種した痕が、発熱とともに赤く腫れ上がることがあります。これは非常に特異的なサインであり、もしこの所見とイチゴ舌が見られたら、川崎病の可能性はかなり高まります。このように、舌の所見だけで判断するのではなく、「舌がイチゴのようで、お腹にザラザラした細かい発疹がある」のか、「舌がイチゴのようで、BCGの痕が赤く腫れている」のか、といったように、発疹との関係性をセットで捉えることが、見分け方の精度を上げる上で極めて重要です。お子さんの体に発疹を見つけたら、その性状をよく観察し、医師に正確に伝えましょう。

  • そのしつこい咳はマイコプラズマ肺炎かも

    医療

    風邪をひいた後、熱や鼻水は治まったのに、なぜか咳だけがいつまでも続いている。特に、痰の絡まない乾いた咳が、昼夜を問わずコンコンと出て、一度出始めると止まらなくなる。そんな経験はありませんか。そのしつこい咳の正体は、もしかしたらマイコプラズマ肺炎かもしれません。大人がかかるマイコプラズマ肺炎の最大の特徴は、この「頑固で乾いた咳」にあります。一般的な風邪や気管支炎であれば、咳は徐々に湿ったものに変わり、快方に向かうことが多いですが、マイコプラズマ肺炎の場合は、気管や気管支の粘膜に病原体がしつこく留まり、炎症を引き起こし続けるため、乾いた咳が三週間、四週間、あるいはそれ以上も続くことがあります。夜間や早朝に咳き込んで目が覚めてしまったり、会話中や電話中に咳が止まらなくなってしまったりと、日常生活に大きな支障をきたします。咳があまりに激しいため、胸や背中の筋肉が痛くなることもあります。この咳と対照的に、他の症状は比較的軽い場合があるのが、この病気の診断を難しくしている点です。発熱も、高熱が出る人もいれば、微熱がだらだらと続く人、あるいはほとんど熱が出ない人もいます。そのため、本人も周囲も「咳が長引いているだけ」と軽く考えがちです。しかし、体内では肺炎が起きているのです。レントゲンを撮っても、肺炎の影がはっきりと映らないことも多く、「非定型肺炎」と呼ばれる所以です。見分けるポイントとしては、市販の風邪薬や咳止めがほとんど効かない、という点が挙げられます。また、自分だけでなく、家族や職場の同僚など、身近な人にも同じように長引く咳の症状が出ている場合は、集団感染の可能性があり、マイコプラズマ肺炎を強く疑うべきサインと言えます。もし、あなたの咳がただの風邪のなごりにしてはあまりにしつこいと感じるなら、それは体が発している重要な警告かもしれません。一度、呼吸器を専門とする医師に相談してみてください。

  • ワキガの臭いの正体とは!普通の汗と何が違うのか

    医療

    「もしかして自分はワキガかもしれない」と感じた時、多くの人がまず気になるのは、その特有の臭いの正体ではないでしょうか。ワキガの臭いは、単なる汗臭さとは根本的にメカニズムが異なります。その違いを正しく理解することが、適切なケアへの第一歩となります。私たちの体には、「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という二種類の汗腺があります。私たちが暑い時や運動した時にかくサラサラとした汗は、エクリン汗腺から分泌されるもので、その成分のほとんどは水分です。そのため、かいた直後はほぼ無臭です。時間が経ってから臭うのは、皮膚の表面にいる常在菌が、汗に含まれる皮脂や垢を分解することで発生する、いわゆる「汗臭」です。一方、ワキガの臭いの主な原因となるのが、アポクリン汗腺です。この汗腺は、脇の下や陰部、耳の中など、体の限られた場所にしか存在しません。そして、アポクリン汗腺から出る汗には、水分だけでなく、脂質やタンパク質、アンモニアといった、臭いの元となる成分が豊富に含まれています。この汗そのものは、分泌された直後はやはり無臭です。しかし、この栄養豊富な汗を、皮膚の常在菌、特にワキガの原因菌とされるコリネバクテリウムなどが分解することで、あの特有の鼻をつく臭いが発生するのです。つまり、ワキガの臭いは、「アポクリン汗腺から出る汗」「皮脂」「皮膚の常在菌」という三つの要素が掛け合わさって生まれる、複雑な臭いなのです。その臭いは、よく「玉ねぎのようなツンとした臭い」「スパイスのような刺激臭」「鉛筆の芯や古びた金属のような臭い」などと表現されますが、個人差が大きく、一概には言えません。ワキガは病気ではなく、あくまで個人の体質の一つです。その特有の臭いのメカニズムを客観的に知ることで、いたずらに不安になるのではなく、冷静に自分の体と向き合うことができるようになるでしょう。

  • 感染症の可能性も?カンジダ、いんきんたむし、ぎょう虫

    医療

    お尻のかゆみが、なかなか治らずに続いたり、特徴的な広がり方をしたりする場合、それは単純なかぶれや湿疹ではなく、カビや寄生虫といった、病原体による「感染症」の可能性があります。これらの感染症は、それぞれ治療法が全く異なるため、自己判断で市販薬を使うとかえって悪化させる危険性があり、専門医による正確な診断が不可欠です。まず、女性に最も関係が深いのが、前述の「皮膚カンジダ症」です。カンジダはカビの一種で、陰部から肛門周囲、そしてお尻の割れ目にかけて、境界が比較的はっきりした赤い発疹と、その周りに小さな膿疱や皮むけが散らばるのが特徴です。強いかゆみを伴います。この場合は、「婦人科」または「皮膚科」が専門となります。次に、男性に多いイメージがありますが、女性でも発症するのが「いんきんたむし」、医学的には「股部白癬(こぶはくせん)」です。これは、水虫と同じ白癬菌というカビが、股間や内もも、お尻の皮膚に感染する病気です。症状は、半円状や輪のような形に、赤く盛り上がった発疹が広がり、その縁の部分が特に活動的で、かゆみが非常に強いのが特徴です。診断と治療は「皮膚科」が専門で、顕微鏡検査で白癬菌を確認した上で、抗真菌薬の塗り薬で治療します。ステロイドの塗り薬を使うと、一時的にかゆみは治まりますが、カビの増殖を助長してしまい、症状を悪化させるため、自己判断での使用は絶対に避けてください。そして、非常に稀ではありますが、特に小さなお子さんがいる家庭で考えられるのが「ぎょう虫症」です。ぎょう虫という寄生虫が腸に寄生し、夜間にメスが肛門の周りに出てきて産卵するため、夜になると、肛門周囲に耐え難いほどの強いかゆみが起こるのが最大の特徴です。この場合は、「内科」や「小児科」、「皮膚科」などで相談し、セロハンテープを使った簡単な検査で虫卵の有無を確認し、駆虫薬の内服で治療します。このように、感染症が原因のかゆみは、原因微生物を特定することが治療の第一歩です。特徴的な皮疹やかゆみの時間帯に気づいたら、専門医に相談してください。

  • 大人のワキガ!臭いを強くする意外な生活習慣

    生活

    ワキガは思春期に始まることが多いですが、大人になってから臭いが強くなった、あるいは気になるようになったと感じる方も少なくありません。その背景には、日々の何気ない生活習慣が、ワキガの臭いを増幅させている可能性があります。まず、大きな影響を与えるのが「食生活」です。肉類やバター、チーズといった動物性脂肪や高カロリーな食事は、ワキガの原因となるアポクリン汗腺の働きを活発化させることが知られています。これらの食品を多く摂取すると、汗に含まれる脂質やタンパク質の量が増え、それをエサとする皮膚の常在菌が繁殖しやすくなり、結果として強い臭いを発生させてしまうのです。欧米型の食生活が中心になっている方は、注意が必要です。次に、「ストレス」も無視できない要因です。現代社会で働く大人は、仕事や人間関係で常に強いストレスに晒されています。精神的なストレスを感じると、交感神経が優位になり、アポクリン汗腺からの汗の分泌が促されます。いわゆる「精神性発汗」です。プレゼン前や大事な商談の前など、緊張する場面で脇汗が増え、臭いが気になるという経験は、このメカニズムによるものです。また、ストレスは、臭いに対する感覚を過敏にさせ、実際以上に自分の臭いを気にしてしまうという悪循環を生むこともあります。さらに、「飲酒」や「喫煙」も臭いを悪化させる一因です。アルコールが体内で分解される過程で生じるアセトアルデヒドや、タバコに含まれる有害物質は、それ自体が臭いの元となり、汗とともに排出されます。これがワキガの臭いと混じり合うことで、より不快な臭いへと変化してしまうのです。生活習慣の乱れによる「疲労」も、肝臓の機能を低下させ、体内のアンモニアの分解能力を弱めるため、体臭全般を強くする可能性があります。もし、最近ワキガの臭いが強くなったと感じるなら、食生活やストレス管理、生活リズムなど、ご自身のライフスタイルを一度見直してみることが、臭い改善への第一歩となるかもしれません。

  • 見逃せない川崎病のサインとしてのイチゴ舌

    医療

    イチゴ舌は溶連菌感染症の症状として有名ですが、親として絶対に見逃してはならない、もう一つの重大な病気のサインでもあります。それが「川崎病」です。川崎病は、主に四歳以下の乳幼児に発症する原因不明の病気で、全身の血管に炎症が起こります。特に、心臓に栄養を送る冠動脈に炎症が及ぶと、血管に瘤(こぶ)ができてしまい、将来的に心筋梗塞などの原因となる可能性があるため、早期診断と早期治療が何よりも重要です。この川崎病の診断基準の一つに、溶連菌感染症と同じ「いちご舌」が含まれています。では、この二つの病気によるイチゴ舌をどう見分ければ良いのでしょうか。その鍵は、川崎病に特有の他の主要症状を併せて確認することです。川崎病の診断は、以下の六つの主要症状のうち、五つ以上を満たす場合になされます。まず一つ目が「五日以上続く高熱」です。解熱剤を飲んでもなかなか下がらない、持続的な発熱が特徴です。二つ目が「両目の結膜の充血」。白目の部分が赤くなりますが、目やには伴いません。三つ目が「唇の赤みやひび割れ、いちご舌」。唇が真っ赤に腫れたり、乾燥して切れたりします。四つ目が「不定形の発疹」。BCGの接種痕が赤く腫れることもあります。五つ目が「手足の変化」。急性期には手のひらや足の裏が赤くパンパンに腫れ、回復期には指先から皮膚が膜のように剥けてきます。そして六つ目が「首のリンパ節の腫れ」です。これらの症状が、熱とともに次々と現れてきます。溶連菌感染症との大きな違いは、喉の痛みが必ずしも主症状ではないこと、そして咳や鼻水といった風邪症状は少ないことです。もし、お子さんに五日以上続く高熱とイチゴ舌が見られ、さらに目の充血や手足の腫れといった症状が一つでも加わっている場合は、川崎病の可能性を強く疑い、夜間や休日であっても、すぐに小児科、できれば入院設備のある総合病院を受診してください。自己判断は禁物です。

  • イチゴ舌の見分け方!溶連菌感染症の場合

    医療

    子供の舌がイチゴのようになった時、多くの親御さんがまず思い浮かべるのが「溶連菌感染症」でしょう。実際に、イチゴ舌は溶連菌感染症の非常に特徴的な症状の一つであり、その見分け方を知っておくことは、早期発見と適切な治療に繋がります。溶連菌感染症によるイチゴ舌を見分けるための最大のポイントは、舌以外の随伴症状、特に「喉の痛み」と「発熱」です。溶連菌は、喉の奥にある扁桃腺で増殖するため、感染するとまず三十八度以上の高熱とともに、唾を飲み込むのもつらいほどの激しい喉の痛みが現れます。鏡で喉の奥を見ると、扁桃腺が真っ赤に腫れ、白い膿のようなものが付着していることもあります。そして、これらの症状とほぼ同時に、舌の変化が始まります。初期には舌に白い苔が付着し、その下から赤いブツブツが見える「白苔舌」の状態となり、二日から四日ほどで白い苔が剥がれて、舌全体が真っ赤になる典型的な「いちご舌」へと移行します。この舌の変化と、強い咽頭痛の組み合わせが、溶連菌感染症を見分ける上での非常に重要なサインです。さらに、体幹(お腹や背中)や首、手足の付け根などに、痒みを伴う細かい赤い発疹が現れることもあります。これは「猩紅熱(しょうこうねつ)」と呼ばれ、溶連菌が産生する毒素によって引き起こされます。逆に、咳や鼻水といった、いわゆる典型的な風邪の症状はあまり見られないのも特徴の一つです。まとめると、「高熱」「激しい喉の痛み」「いちご舌」「全身の細かい発疹」という四つの症状が揃っていれば、溶連菌感染症の可能性が極めて高いと言えます。この見分け方に基づき、疑わしいと感じたら速やかに小児科を受診してください。溶連菌感染症は、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった重篤な合併症を防ぐため、抗生物質による確実な治療が必要です。