毎晩、隣で眠るパートナーの、まるで工事現場のような大きないびき。そして、突然訪れる静寂と、その後に続く、あえぐような呼吸。そのたびに、あなたは心配で目が覚めてしまう。これは、睡眠時無呼吸症候群のパートナーを持つ、多くの人が経験している、つらく、そして切実な悩みです。パートナーの健康を心から心配しているのに、本人には全く自覚がなく、「疲れているだけだ」「昔からこうだから大丈夫」と、取り合ってくれない。どうすれば、この深刻な問題に気づいてもらい、病院へ行ってもらえるのでしょうか。まず、感情的に「うるさいから何とかして」と責めるのは逆効果です。本人は無意識のうちにやっていることなので、責められても反発するだけでしょう。大切なのは、非難ではなく、心配しているという愛情のメッセージを伝えることです。「あなたの健康が本当に心配なの。最近、呼吸が長く止まっていることがあって、見ていてとても怖い」と、具体的に、そして真剣に伝えましょう。客観的な証拠を示すのも有効な手段です。スマートフォンの録音機能を使って、一晩のいびきと無呼吸の様子を録音して聞かせてみてください。多くの人は、自分のいびきの凄まじさや、呼吸が止まっている事実を実際に耳にすることで、初めて問題の深刻さを認識します。また、睡眠時無呼吸症候群が引き起こす合併症のリスクについて、信頼できる情報源(公的機関や医療機関のウェブサイトなど)を一緒に見ながら説明するのも良いでしょう。高血圧や心筋梗塞、脳卒中といった具体的な病名を挙げることで、単なるいびきの問題ではないことを理解してもらいやすくなります。そして、最終的には「一緒に病院へ行こう」と誘ってみてください。一人で行くのは気が重くても、パートナーが付き添ってくれるなら、受診へのハードルはぐっと下がります。「私もあなたの睡眠について、先生に伝えたいことがあるから」と伝えれば、協力的な姿勢を示すことができます。時間はかかるかもしれませんが、諦めずに、根気強く、そして愛情を持って向き合うことが、パートナーを病気から救うための最も大切な一歩となるのです。