私の眠れない日々は、仕事のプレッシャーがピークに達した頃から始まりました。布団に入っても頭の中は仕事のことでいっぱいで、心臓がドキドキして目が冴えわたってしまうのです。ようやく眠りについても、1時間おきに目が覚め、朝には疲労困憊。日中は集中力が続かず、簡単なミスを連発する悪循環に陥っていました。最初は「疲れているだけだ」と自分に言い聞かせ、市販の睡眠改善薬を試しましたが、気休めにしかなりません。不眠が1ヶ月以上続いた頃には、理由もなく涙が出たり、好きだった趣味さえも楽しめなくなっていました。このままではダメだ。そう思い、震える手でインターネットを検索し、自宅近くの心療内科の予約を取りました。診察当日、待合室で自分の番を待つ間は、「何を話せばいいのだろう」「変に思われないだろうか」と不安で胸が張り裂けそうでした。しかし、診察室に呼ばれ、穏やかな表情の医師を前にすると、不思議と少しだけ気持ちが落ち着きました。医師は私の話を急かすことなく、じっくりと耳を傾けてくれました。いつから眠れないのか、どんな生活を送っているのか、仕事の状況、気分の落ち込みについて。堰を切ったように話し始めると、自分でも気づかなかったほどのストレスを抱え込んでいたことに気づかされました。一通り話を聞いた後、医師は「それはつらかったですね。典型的な不眠症で、少しうつ状態にもなっています。でも、大丈夫。お薬と休養で必ず良くなりますよ」と優しく告げてくれました。その言葉に、私は心から救われた気持ちになりました。その日は、まず脳の興奮を鎮めて自然な眠りを促すという睡眠薬と、不安感を和らげる薬を少量処方されました。依存性など、薬に対する不安も丁寧に説明してくれ、安心して治療を始められました。その夜、処方された薬を飲んで布団に入ると、久しぶりに朝までぐっすりと眠ることができたのです。目覚めた時の爽快感は、今でも忘れられません。心療内科の扉を叩くのは勇気がいりましたが、あの時の決断が、私を暗闇から救い出してくれたのだと、今ははっきりと断言できます。
私が心療内科の扉を叩くまで。不眠症の初診体験記