女性のお尻のかゆみの原因として、日常生活の中で最も頻繁に遭遇するのが、下着や生理用ナプキンなどが原因で起こる「接触皮膚炎」、いわゆる「かぶれ」です。デリケートな部分だからこそ、日々のセルフケアと原因の特定が、つらいかゆみを改善し、再発を防ぐための鍵となります。かぶれの原因となる物質は様々です。まず「下着」では、ナイロンやポリエステルといった化学繊維や、装飾に使われるレース、あるいはウエストや足の付け根のゴム部分の締め付けが、摩擦や刺激、アレルギー反応を引き起こします。次に「生理用ナプキン」や「おりものシート」は、経血やおりものを吸収するための素材(高分子吸収体など)や、ムレを防ぐための化学物質、香料などが原因となり得ます。また、経血やおりもの自体が、長時間皮膚に付着することで、強い刺激となってかゆみを引き起こします。この他、「石鹸やボディソープ」「お尻を拭くためのウェットシート」に含まれる香料や防腐剤、「トイレットペーパー」の摩擦やインクなども、原因となる可能性があります。かゆみや赤みといった症状が現れた時に、まず行うべきセルフケアは、原因と思われる物質を特定し、それを「避ける」ことです。下着は、通気性と吸湿性に優れた綿100%のものに変えてみましょう。生理中は、ナプキンを2~3時間おきにこまめに取り替え、デリケートゾーンを清潔で乾いた状態に保つことが非常に重要です。体を洗う際は、洗浄力の強すぎる石鹸は避け、弱酸性で低刺激の洗浄剤を使い、手で優しくなでるように洗い、ゴシゴシこすらないようにします。そして、最も大切なのが「掻かない」ことです。掻き壊してしまうと、皮膚のバリア機能がさらに破壊され、炎症が悪化し、二次的な細菌感染を起こしたり、色素沈着が残ったりする原因となります。どうしてもかゆみが我慢できない場合は、冷たいタオルなどで短時間冷やすと、一時的にかゆみが和らぐことがあります。市販のかゆみ止めを使う場合は、ステロイドの入っていない、非ステロイド系のものから試すのが無難です。ただし、セルフケアで数日間たっても改善しない、あるいは悪化する場合は、迷わず「皮膚科」を受診してください。
下着やナプキンのかぶれ、接触皮膚炎の対策とセルフケア