イチゴ舌が現れた時、診断の精度を飛躍的に高めるのが、同時に現れる「発疹」の有無とその性状です。舌と皮膚は、体の状態を映し出す鏡のようなものであり、この二つのサインを組み合わせることで、原因となっている病気をより明確に見分けることができます。溶連菌感染症の場合、イチゴ舌とともに現れる発疹は「猩紅熱様発疹(しょうこうねつようほっしん)」と呼ばれ、非常に特徴的です。これは、体幹(お腹や背中)や首、手足の付け根といった、皮膚の柔らかい部分を中心に、赤くて細かい、まるで紙やすりのようなザラザラとした手触りの発疹が、広範囲にわたって現れます。痒みを伴うことも多く、皮膚が全体的に赤みを帯びて見えるのが特徴です。この猩紅熱様発疹とイチゴ舌の組み合わせは、溶連菌感染症を強く示唆する、いわば「ゴールデンペア」とも言えるサインです。一方、川崎病でも発疹は主要な症状の一つですが、その見た目は「不定形」と表現されるように、非常に多彩です。溶連菌のような細かい点状の発疹が出ることもあれば、麻疹のような少し大きな発疹、あるいは蕁麻疹のような盛り上がった発疹など、様々なタイプのものが現れます。特定の形に定まらないのが、逆に見分け方のポイントとなります。また、川崎病に特徴的な皮膚所見として、BCGを接種した痕が、発熱とともに赤く腫れ上がることがあります。これは非常に特異的なサインであり、もしこの所見とイチゴ舌が見られたら、川崎病の可能性はかなり高まります。このように、舌の所見だけで判断するのではなく、「舌がイチゴのようで、お腹にザラザラした細かい発疹がある」のか、「舌がイチゴのようで、BCGの痕が赤く腫れている」のか、といったように、発疹との関係性をセットで捉えることが、見分け方の精度を上げる上で極めて重要です。お子さんの体に発疹を見つけたら、その性状をよく観察し、医師に正確に伝えましょう。
イチゴ舌と発疹の関係!見分け方の重要ポイント