女性が「お腹が痛い」と感じる時、特に下腹部に痛みがある場合は、消化器系の病気だけでなく、子宮や卵巣といった女性特有の臓器のトラブルが原因である可能性を常に考える必要があります。これらの病気は、見逃すと不妊の原因になったり、緊急手術が必要になったりすることもあるため、適切なタイミングで「婦人科」を受診することが非常に重要です。婦人科を受診すべき腹痛には、いくつかの特徴的なサインがあります。まず、痛みが「月経周期と連動している」場合です。生理の時に、日常生活に支障をきたすほどの強い下腹部痛や腰痛がある場合は、「月経困難症」と呼ばれます。その背景には、子宮の収縮を引き起こす物質の過剰分泌だけでなく、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」、「子宮腺筋症」といった病気が隠れていることがあります。特に、子宮内膜症は、年々生理痛がひどくなる、生理期間以外にも下腹部痛や腰痛、排便痛があるといった症状が特徴です。次に、「不正出血」や「おりものの異常」を伴う腹痛です。排卵期や月経時以外に性器から出血がある場合や、おりものの量が増えたり、色や臭いがいつもと違う場合は、子宮や腟に何らかの炎症が起きている可能性があります。クラミジアなどの性感染症が原因で、骨盤内の臓小器に炎症が広がる「骨盤内炎症性疾患(PID)」は、下腹部痛と発熱を引き起こします。そして、最も注意が必要なのが、「突然発症する、これまでに経験したことのないような激しい下腹部痛」です。これは、婦人科領域の緊急疾患のサインかもしれません。例えば、「卵巣嚢腫の茎捻転」は、卵巣にできた袋状の腫瘍が、その根元でねじれてしまう病気で、血流が途絶えるために激痛と吐き気を引き起こします。また、「子宮外妊娠の破裂」は、受精卵が子宮以外の場所(主に卵管)に着床し、それが大きくなって破裂するもので、激しい腹痛と共に、腹腔内で大出血を起こし、ショック状態に陥る、命に関わる非常に危険な状態です。これらのように、月経との関連性や、出血・おりものの異常、そして突然の激痛といった症状を伴う腹痛は、婦人科医による専門的な診断が不可欠です。我慢せずに、早期に婦人科を受診してください。
女性特有の下腹部痛、婦人科を受診すべきサイン