突然の体調不良や怪我に見舞われたとき、パニックになってとりあえず大きな病院へ駆け込もうとするのは、必ずしも最善の策とは言えません。救急指定病院を適切に利用するためには、いくつかの重要なポイントを理解しておく必要があります。まず、自分の症状が「緊急を要するものかどうか」を冷静に判断する力を養いましょう。胸が締め付けられるような痛み、突然の激しい頭痛、意識が朦朧としている、大量の出血があるといった場合は、迷わず119番通報をして救急車を呼んでください。救急隊員は、患者の状態に応じて最適な救急指定病院を選定して搬送してくれます。一方で、歩ける程度の痛みや、数日前から続いている症状などの場合は、まずは地域の休日夜間急患センターや、電話相談窓口である♯7119を利用することをお勧めします。♯7119では、専門の看護師や医師が電話口で症状を聞き取り、すぐに病院へ行くべきか、それとも翌朝の診察を待つべきかをアドバイスしてくれます。これにより、救急指定病院に軽症患者が集中することを防ぎ、本当に命の危険がある重症患者にリソースを集中させることが可能になります。救急指定病院を受診する際に知っておくべきは、診察の順番が「到着順」ではなく「重症度順」であるというトリアージの概念です。たとえ自分が先に到着していても、後に運ばれてきた心肺停止の患者や重症交通事故の患者が優先されるのは、救急指定病院の本来の役割からすれば当然のことです。長時間待たされることに不満を感じるかもしれませんが、それはあなたが「待てる程度に安定している」という証拠でもあり、ポジティブに捉えるべき側面もあります。また、受診の際は、お薬手帳や健康保険証、これまでの既往歴が分かるものを準備しておくと、緊急時の診断が飛躍的にスムーズになります。救急指定病院とは、地域住民全員で支え合い、守っていくべき共有の財産です。一人ひとりが適切な受診を心がけることで、救急医療の質は維持され、いざという時に自分自身を救うことにも繋がります。地域の医療マップを確認し、どこに1次、2次、3次の施設があるのかを把握しておくことは、災害対策と同様に重要な備えです。賢い利用者になることが、日本の優れた救急医療体制を未来へと引き継ぐための第一歩となるのです。