産後や子育て真っ最中の女性にとって、体中が痛むのは日常茶飯事かもしれません。赤ちゃんの抱っこによる手首の痛み、夜泣き対応による睡眠不足と全身の倦怠感、前かがみの姿勢が続くことによる腰痛。これらは「母親なら誰でも通る道」として、我慢するのが美徳とされる風潮さえあります。しかし、その影に「産後リウマチ」と呼ばれる関節リウマチの発症が隠れていることがあるのを、どれだけの女性が知っているでしょうか。リウマチは出産後のホルモンバランスが劇的に変化する時期に、発症のリスクが高まることが知られています。子育て中の過労とリウマチの初期症状を見分ける決定的なポイントは、その痛みの「質」と「広がり」にあります。単なる使いすぎによる腱鞘炎であれば、酷使している側の手首や親指の付け根だけが痛みますが、リウマチの場合は、使っていないはずの足の指や、反対側の手まで左右同時に腫れてくることがあります。また、抱っこのしすぎによる筋肉痛は休息によって緩和されますが、リウマチの痛みは朝が最も激しく、お風呂に入って血行を良くしても、腫れそのものが引くことはありません。ある患者さんは、朝一番に赤ちゃんのオムツを替えようとしても、指が動かなくてテープを留められないことに気づき、初めて異変を自覚しました。また別の患者さんは、ベビーカーを押すときに手首が悲鳴を上げ、自分の筋力が落ちただけだと思っていましたが、実際には関節の中で激しい炎症が起きていました。もしあなたが子育て中で、「最近、体のあちこちが痛いけれど、みんなこんなものだろう」と自分に言い聞かせているなら、一度立ち止まって考えてみてください。その痛みは、特定の場所だけですか。朝起きたときに、手がむくんだような、強張ったような感覚はありませんか。リウマチは、お母さんが自分を後回しにしている間に、静かに関節を蝕んでいきます。早期発見は、自分自身のためだけではなく、これから長く続く育児という重労働を乗り切るための、命綱となる知識です。リウマチ科を受診するのは決して「大げさ」ではありません。血液検査一本で、不安の正体が判明するのです。「お母さんなんだから痛くて当然」という言葉に縛られず、自分の体を一人の人間として大切にする勇気を持ってください。早期に治療を開始できれば、薬を飲みながらでも、笑顔で子どもを抱き上げることができる日々を守ることができるのですから。
子育て中の過労とリウマチの初期症状を見分けるためのアドバイス