近年、子育て世代の間では、あまりに清潔すぎる環境が子供の免疫力を下げてしまうのではないかという「衛生仮説」への不安を耳にすることがあります。そのため、RSウイルスを2歳まで回避できたことに対しても、どこか後ろめたいような、免疫をつける機会を奪ってしまったのではないかという感覚を抱く親御さんもいるかもしれません。しかし、呼吸器感染症、特にRSウイルスに関しては、感染時期を2歳以降に遅らせたことには、医学的、そして社会的に多大なメリットがあることを強調しておきたいと思います。第一のメリットは、乳幼児期特有の「重症化スパイラル」を回避できたことです。1歳未満でRSウイルスによる細気管支炎を患うと、その後数年間にわたって風邪を引くたびに喘息のような発作を繰り返す「喘鳴症」になりやすいことが知られています。2歳まで未感染で過ごせたお子さんは、気道の過敏性が高まる時期を無事に通過したことになり、将来的な喘息リスクを低減できた可能性があります。第二のメリットは、家族全体の精神的、経済的負担の軽減です。乳児のRSウイルス感染は、多くの場合、1週間から10日程度の入院を伴います。付き添い入院による親の心身の疲弊、仕事の長期欠勤、多額の医療費などは、家族にとって大きなダメージとなります。これらを回避し、お子さんが自分の意志で「喉が痛い」「お水が飲みたい」と言える年齢まで感染を遅らせたことは、家庭の平穏を守る上での素晴らしい成果です。第三のメリットは、予防習慣そのものが定着したことです。RSウイルスを避けるために行ってきた手洗いやうがいの習慣は、他のあらゆる感染症、例えばインフルエンザや胃腸炎などからもお子さんを守り続けてきました。これらの生活習慣は、一生を通じてお子さんの健康を守るリテラシーとなります。2歳までにかかっていないことは、決して「ひ弱な体」を作ったわけではなく、むしろ「最も脆弱だった時期を賢く守り抜いた」ということに他なりません。免疫はこれから、適切な時期に、適切な形で獲得していけば良いのです。これまで続けてきた愛情深いケアを自信に変えて、成長したお子さんとともに、新しい環境での挑戦を前向きに楽しんでください。感染を遅らせたことで得られた「呼吸器の成熟」という果実は、これからのお子さんの健やかな毎日を支える確かな土台となるでしょう。
感染対策の徹底でRSウイルスを2歳まで回避した生活のメリット